一刀流兵法 切落について

一刀流兵法は 切落 が極意です。

その切落について、一刀流兵法十二箇條目録の中にこう書かれています。

切落之事  切落とは、敵の太刀を切落して、然る後に勝つと云ふにはあらず、石火の位とも、間に髪を容れずとも云ふ處なり。金石打合せて、陰中陽を發する自然により火を生ずるの理なり。火何れよりか生ず。間に髪を不要の處なり。切落すとは、共に何時の間にやら敵にあたる一拍子なり。陰極って落葉を見よ。陰中に陽あって落つると共に何時の間にやら新萠を生じてあり。切落すとは共に敵にあたりて勝あるの理なり。

と。

しかしながら、現在、一刀流を謳っている道場及び修行者は、この 切落 を誤解、勘違いして捉えています。それにより刀法も異なり、組太刀も変わってしまっています。現在世に出ている切落の遣いは、竹刀や木刀を使った現代剣道が主体となっているとしか思えません。日本刀では全く通用しませんから。

切落というのは、日本刀の構造や特性の上に成立するもので、その特性が最大限に活かされる遣いなのです。そしてそれにより一刀流の刀法が成り立っているのです。

大東流に於いてこの切落を正確に身に付け、遣えなければ、術を遣うことは絶対に不可能です。